船井総合研究所で年間3億円を稼ぐナンバーワンコンサルタントとなり、同社の社長、会長として更に業績を伸ばした、業界著名の小山政彦氏。無神論者である彼の考え方は、「良い生き方をしなければ、よい死に方はできない」というもの。「人間は死んだら焼かれて灰になって終わり。では、何のために生きているのか。突き詰めていくと、人間は二度死ぬという考えに辿り着いた。一度目は肉体が滅びる時、そして二度目は全ての人から自分の記憶が消え去る時。その意味においては、織田信長は435年生き続け、坂本龍馬は150年生き続けている。せっかくこの世に命を授かったからには、人の記憶に残るような生き方をしたい。そんな思いに突き動かされ、私は今日まで走り続けてきた。」
イチローは、未来の野球界を背負う学童たちに、勝つことの喜び、負けることの悔しさ、また、野球というスポーツが持つ様々な要素を体験し、そこから多くを学んで欲しいという思いで、毎年「イチロー杯争奪学童軟式野球」という大会を開いている。自ら大会長を務める彼は、閉会式に必ず足を運び、学童の目線に立ってメッセージを贈る。メジャーの世界でも最高峰に上り詰めた、実体験から発せられる言葉の重みと説得力は、野球ファン以外にとっても、深く大きい。21回目の今年、彼の言葉は次のようなものだった。「今年メジャーリーグで3000というヒットを達成することができました。こういうことがあると、たくさんの人から褒めてもらえます。そして、イチローは人の2倍も3倍も頑張っていると言う人が結構います。でも、そんなことは全くありません。人の2倍とか3倍頑張る事ってできないよね。みんなも頑張っているからわかると思うんだけど。頑張るとしたら自分の限界・・・自分の限界って自分でわかるよね。その限界の時に自分の中でもう少しだけ頑張ってみる。ということを重ねていって欲しいな、というふうに思います。(略)僕もみんなと同じ野球少年だった。自分の中でちょっとだけ頑張ることを続けていくと、将来思ってもいなかった自分になっている。と僕は思うし、実際、僕だってメジャーリーガーになれると思っていなかったし、アメリカで3000本打てるなんてことは全く想像ができなかった・・・。」人との比較ではなく、自分の中で今の限界をちょっと超える頑張りを重ね続けてゆく。自らコントロールできない第三者の「評価」を気にしたり追いかけるのではなく、自分がコントロールできる「結果」に集中するのが、彼の考え方だ。
人の記憶に残るような生き方をしたい。人の評価より自分の限界と戦い続けたい。全く違う考え方のようだが、どちらも限界を超える努力のできる人の言葉。
情熱の「情」は心に青と書く。青は青龍の青であり、古代中国では東、春を象徴する神獣とされた。つまり、自分の思い定めた夢に向かって、心が春のように若々しくあり続けることを表わすのが「情」である。
茶の湯の世界にいると、私の周りは殆どが人生の先輩方。体が言うことをきかない、辛い出来事を幾つも体験してきた、深い「情」のある、人間力をお持ちの先輩方である。その方々が何年も、毎週、毎回稽古にみえる。ただひたすらに稽古を重ねる。自分の限界と堂々と向き合っておられるそのお姿は、私たちの記憶に、心に、確実に残っていく。ここに茶の湯の意義をまた一つ、感じているのである。
平成29年6月 畑中香名子


